http://www.nenasili.cz/en/2666_a-balanced-strategy-reprogramming-the-pentagon-for-a-new-age
  バランスのとれた戦略 -新時代に向けての国防総省の再計画-

   2008/12/28  ロバート・M・ゲイツ(国防長官)

  国防総省の新防衛施策を決定づける原則は、バランスです。 合衆国は今以上の防衛予算により、国家安全保障上の
  リスクを排除することを期待できませんし、あらゆる防衛手段を行い、あらゆる兵器を買うことも期待できるわけではありません。

  国防総省は優先順位を設定し、避けられない取捨選択や(他の方策から得られる)機会費用を考慮しなければなりません。

  新しい戦略がバランスをとろうと努めるのは、次の3つの分野においてです。 
  ・ 現在の戦争(conflicts)に勝利することと、他の有事に備えることの間
  ・ 対ゲリラ活動と海外への軍事支援のような能力を制度化することと、他国の軍事力に対して我が国が現在持つ、
    在来および戦略的な科学技術の優位性を維持することとの間
  ・ 合衆国軍隊をこれまで成功させてきた文化的特徴を保持することと、その軍が持つ、求められるすべてを遂行する能力を
    阻む文化的傾向との間

 従来の思考によらない思考

  今後の脅威に対処する合衆国の能力は、現在の戦争における我が国の成果次第となるでしょう。 遠慮せずに言えば、イラク
  またはアフガンのどちらかで失敗する、あるいはそのように受け止められることは、友好国や同盟国、さらに敵となりうる国に
  おける合衆国の威信に大きな打撃となるでしょう。

  イラクにおける合衆国戦闘部隊の数は、去る11月にどちらの候補者が大統領に選出されようとそうなるはずだったとおり、
  いずれ減少します。 それでも今後数年間は、イラクにおいて何らかの合衆国の助言や対テロ活動は続きます。

  アフガニスタンでは、ブッシュ大統領が去る9月に発表したように合衆国の部隊は増加しており、2009年にはさらに増える
  見込みです。 アフガニスタンは、その地勢や貧困、周辺諸国、痛ましい歴史を考えれば多くの点で、イラクよりも複雑で、
  より困難な長期に渡る課題であり、国際社会の大きな協力があろうと、合衆国が軍事的に、経済的に、重要な関与を当分
  の間行う必要があります。

  そのような今後について考えもせず準備もしないことは無責任となるでしょう。 ですから国防総省の大多数と、軍隊と、防衛
  産業は、まさにその責任を担っています。 しかし今後の在来型および戦略的競争に備えるに熱心なあまり、合衆国が現在
  行っている戦争を戦って勝ち取るのに必要な、あらゆる能力を配備することを怠ってはいけないのです。

  在来兵器の近代化計画への支援は、国防総省の予算や、その執行手続き、防衛産業、そして連邦議会に深く組み込まれて
  いるものです。 私の主要な関心は、今の我々の戦争や今後起こりそうな同種の戦争に必要な能力を、それらの有事に釣り
  合って支援する制度が、国防総省も含み、存在していないということです。

  テロとの戦いと呼ばれるものは、厳然たる事実として、長引き世界中に及ぶ、不規則な戦争です。 暴力的な過激主義者の
  勢力と、穏健派の勢力との戦いです。 テロリストや他の過激組織との長期にわたる戦争では、直接投入される軍隊が今後も
  役割を果たすことになります。 しかし長期的には、合衆国は勝利への道を制覇することができません。 可能であれば、軍隊で
  いう速動作戦よりも、よりよい統治や発展を刺激する経済計画、さらにテロリストの新兵募集の母体である不満を抱いた人々の
  不平や悲嘆を解消しようとする努力を促進することを目的とする諸々の対策を、より優先すべきです。

  過激派の活動とそのイデオロギーの威信を損ね、打破するには、長期に渡り目立たない努力を忍耐強く続けて、勝利を積み
  重ねる必要があるのです。