| 回覧メールより 「市民による事業仕分け ―― 2010年度防衛予算を斬る!」 東京の杉原浩司(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)です。 [転送・転載歓迎/重複失礼] 先日2月5日、「市民による事業仕分け ―― 2010年度防衛予算を斬る!」を無事終えました。内容は改めて ご報告できればと思いますが、この企画の一環として行った予算編成関係者に対する公開質問状への回答が 届きましたのでご紹介します(回答期限は2月3日でした)。 公開質問状は、北澤俊美防衛相、榛葉賀津也防衛副大臣、長島昭久・楠田大蔵防衛政務官、鳩山由紀夫首相、 岡田克也外相、菅直人財務相、藤井裕久前財務相、仙石由人行政刷新相、枝野幸男「仕分け」統括役、 蓮舫・田嶋要「仕分け」議員、福島瑞穂社民党党首、阿部知子社民党政審会長、亀井静香国民新党代表、 市川健太財務省主計官 の方々に届けました。 現在までに届いた阿部知子・社民党政審会長(2月5日着)と市川健太・財務省主計官(2月3日着)の回答を ご紹介します。はじめにこちらのコメントを付しています。行間も含めて、ぜひじっくりお読みください。 【コメント】 <阿部知子さん回答に対して> 回答なしがほとんどの中、ていねいな回答に感謝します。一読して、私たちと同様にそれぞれの兵器の予算化 を問題視されていることがわかります。にも関わらず、社民党はなぜそれらの予算案への計上を認めてしまった のでしょうか。回答では防衛省の政務三役に社民党議員が入っていない事が理由の一つとして繰り返し挙げられ ています。しかし、実際の予算編成の最終作業において、阿部議員は長島昭久政務官らと対峙していたはず。 1月10日の東京新聞では、阿部議員は長島政務官との協議の際、「長期の活動も想定したヘリ空母型護衛艦 を建造する以上、自衛官の負担に対応する態勢が必要だ」と軍事オンブズパーソン制度の必要性を指摘。 調査への着手を条件に、ヘリ空母型護衛艦の予算を認めたとあります(事務所にも確認)。 軍事オンブズパーソン制度の必要性はもちろん認めますが、それと引き換えに大型ヘリ空母予算を認めるのは、 やはり本末転倒ではないでしょうか。その点に関する踏み込んだ率直な説明がなされるべきです。 そして、今からでも問題ある兵器予算を削除する道を追求されるべきだと思います。またNの「米軍再編見直し」 に関する回答も残念なものです。 <市川健太さん回答に対して> 期限内の回答に感謝します。ただ、個々の問いへの回答はなされず、公式見解のみというのはいただけません。 一方で、2月5日の「市民仕分け」企画への参加招請については「公務多忙等のため、参加かないませんことを 御了承ください」とのこと。次回は(もし担当を代わられていなければ)主計官の都合に合わせる形で設定して、 ぜひ参加してもらいたいものです。 ……【市民による「防衛予算仕分け」に向けた公開質問状への回答】…… 2010年2月5日 ◆回答者 阿部知子(社民党政策審議会長) <全体>〜〜〜〜〜〜 @新政権が予算編成にあたって当初強調した「ゼロベースでの見直し」は、実際の防衛予算案にどのように反映 されているのか。 ◆予算編成の作業にあたる基本的な考え方として踏まえられていると考えています。 A防衛予算の総額は4兆7,903億円となり、近年の微減傾向から一転して前年度比0.3%増となった。民主党は、 かつて防衛費5,000億円削減を掲げたこともあり、軍縮を目指す社民党も今回連立に加わった。「事業仕分け」等で 無駄を省く」と喧伝したにも関わらず、防衛予算は依然として「聖域」扱いとなり、結局増額さえ行われた。その理由 は何か。 ◆防衛関係費の総額は09年度予算の4兆9,045億円から10年度予算案の4兆7,903億円に約2.3%減となっております。 当初予算で比較した場合、4兆7,741億円から4兆7,903億円に0.3%の増となります。当初予算が162億円の増となった 主な理由は「子ども手当」の創設による人件費の増加(防衛省分約233億円)です。公務員に係わる子ども手当について は所属庁から支給されることとされ、各省予算を押し上げているためです。 Bごく一部の項目が「事業仕分け」対象となり議論が公開されたが、予算案の最終決定は不透明な密室状態で行われた。 旧態依然たるやり方を転換し、今後は最終プロセスをも公開する意思はないのか。 ◆予算決定のプロセスをより透明なものとすることは賛成です。 C「防衛計画の大綱」改定と「中期防衛力整備計画」の策定は、2010年末まで1年先送りされた。この際、恣意的な 人選に基づき任命した「有識者懇談会」の答申に従い策定するという方法を、抜本的に改めるべきと考える。例えば、 地方・中央・北東アジア公聴会、参考人質疑、タウンミーティング、現場視察、住民・NGO等へのヒアリング、パブリック コメント等を組み込み、多様な民意を反映し得る形に刷新することを検討すべきと考えるがどうか。また、「有識者懇談会」 を設置する場合でも、少なくとも立場の異なる多様な「識者」を人選すべきと考えるがどうか。 ◆大綱の決定プロセスについてはより透明で公正なものとすべきと考えております。有識者懇談会の人選についても はじめに結果ありきの恣意的なものであってはなりません。新「大綱」の策定にあたっては、安全保障会議と閣議のみ で決定するのではなく、国会における審議や国民からの意見聴取などを行ない、国民的支持を得られるものとするよう 努めるべきということを主張しています。 D防衛予算策定の背景に、自衛隊や防衛官僚の天下り枠の確保があることが今なお指摘されている。抜け道なしの 天下り全面禁止を行う意志はあるのか。 ◆天下り禁止の問題については公務員制度全体の問題とあわせて検討しております。 E09年12月17日に閣議決定された「防衛予算の編成の準拠となる方針」(以下、「準拠方針」)では、「現大綱の考え方に 基づき」、「老朽化した装備品の更新」や「旧式化しつつある現有装備の改修による有効利用」を行うと明記している。 それにも関わらず、予算案は現大綱の規模を超えるPAC3の事実上の追加配備(レーダー等のPAC3対応型改修)や、 「規模、能力ともはるかに上回る」(市川健太主計官)大型ヘリ空母建造費の計上などに踏み込んでいる。これらは、 「閣議決定詐欺」ではないのか。これらの装備計上を正当化する根拠は一体どこにあるのか。 ◆PAC3の改修、22DDHの建造については社民党は反対です。実質的に大綱、中期防不在状態のなかで、大型の 装備の配備を決めることは好ましくないと考えます。 F財務省の市川健太主計官は、「事業仕分け」において「大綱見直しや次期中期防を先取りする装備品の取得は 原則として見合わせ、新規後年度負担を厳しく抑制すべき」と表明していたにも関わらず、なぜ原則を逸脱する装備 要求を認めたのか。 ◆個別の予算について問われることはなく、予算案全体として賛否について判断しております。 <PAC3用改修費などMD経費>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 G「準拠方針」では「弾道ミサイル対処能力を付加されていない高射群については、現有機能の維持に必要なシステム 改修に取り組む」と明記されている。しかし防衛省は、対航空機用PAC2のソフトウェアの保証期限切れ(2012年度まで) と4年国債による新版購入方式を理由として、PAC3にも対応可能な新バージョンへの改修を不可避と説明。「現有機能 の維持」を超え、現大綱の水準をも超える事実上のPAC3追加配備を誘導した。しかも、こうした事実は納税者にほとんど 知らされていない。 ソフトウェアの保証が切れることがどれほど問題になるのか、また、4年国債による購入方式を変える余地はないのか、 などの疑問点は何ら明らかにされていない。これらの点を解明し、「政治主導」により改修経費の計上を撤回する意志は ないのか。 ◆ご指摘の点は十分理解いたしますが、防衛省政務三役に社民党所属議員はおらず、所管外の課題への対応には限界 があるのが現実です。 H岡田外相は、09年11月24日の閣僚委員会の場で、「防衛予算のかなりの部分を占めるPAC3は、有効性について国民 に理解される説明が求められる。2010年度中に十分に検討すればいいのではないか」と述べ、藤井財務相(当時)も賛同 したと報じられた。また、翌日25日には福島社民党党首(消費者相)もPAC3経費計上への異論を表明した。 今回、事実上のPAC3追加配備経費が計上されたことを受けて、岡田、藤井、福島三氏は予算案を認めたことについて 説明責任を果たすべきではないか。 ◆PAC3経費計上については現在での賛成ではありませんが、与党として予算案全体について判断しております。各閣僚 の発言については、各閣僚が説明責任を果たすべきと考えます。 I能力向上型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の日米共同開発経費が191億円計上されている。大陸間弾道弾(ICBM) の迎撃も可能とされるこのミサイルは、米海軍兵士に「ビースト(野獣)」と呼ばれ、「軍事のルールを変える」とさえ言わ れている。これは、米国向けミサイルの迎撃という集団的自衛権の行使にも直結しかねないものである。 米国は、このミサイルを新欧州MD計画の柱に位置づけており、既にゲーツ米国防長官は欧州への輸出のために、武器輸出 禁止三原則を緩和せよと要求している。鳩山首相が「武器輸出三原則の堅持」と「集団的自衛権に関する憲法解釈の堅持」を 表明している以上、現行の新SM3日米共同開発はいったん白紙に戻して精査する必要があると考えるがどうか。 ◆ご指摘の通り新SM3日米共同開発については、いったん白紙に戻して精査することが好ましいと考えます。 <大型ヘリ空母(ヘリコプター搭載護衛艦)建造費>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 J1,208億円という巨費が計上された大型ヘリ空母(22DDH)は、護衛艦「しらね」の後継艦とされている。しかし、 基準排水量で4倍、建造費も3倍に達し、海自史上最大の軍艦となる。能力面でも「後継」ではなく大幅な機能強化と言わ ざるを得ない。これは、「準拠方針」を著しく逸脱しているのではないか。 ◆22DDHの建造は準拠方針を逸脱しているおそれが強いと考えます。 K防衛省は依然として「護衛艦」(すなわち駆逐艦)という呼称を用いている。しかし、導入推進派からさえ「排水量だけ を見ても、これをヘリコプター搭載護衛艦=駆逐艦と呼ぶのはもはや詐欺」「22DDHはもはや多目的空母であり、政治的 に困難だから護衛艦と称するというのは、納税者に対する背信行為である」(清谷信一『防衛破綻』)との厳しい批判がな されている。この批判にどう答えるか。 ◆防衛省の使用している多くの用語が、世界の標準的な軍事用語と異なっていることは、憲法第9条の理念の下にある 実力組織であることを示すための苦肉の方策と理解しています。実態に大きな差がなく「詐欺」的であるとの意見も理解は 出来ますが、実態に合わせてしまうことは反対です。 L大型ヘリ空母導入の危険性についての認識が極めて不十分ではないか。例えば、山崎眞・元自衛艦隊司令官は「(艦の) 約40年の生涯において、現在では想像もつかないような事態が生起することも考えられる」として、「(F35戦闘機の ような)垂直離発着機を搭載して、シーレーン防衛をも行う」ことを予測している(『軍事研究』10年1月別冊)。ここで 立ち止まり、旧政権と防衛省・海上自衛隊が行ってきた装備要求を精査すべきではないか。 ◆旧政権下の装備要求を精査すべきとのご意見には賛成ですが、社民党は担当分野の政務三役に所属議員がおりま せんので、責任を持ってお答えすることは出来ません。 <海兵隊グアム移転費を含む「米軍再編」経費>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 M米海兵隊グアム移転について――2009年に締結された日米協定は、確かに日本の費用負担義務について定めて いるが、各年度にいくら負担すべきか、負担をいつ開始すべきかについてまでは明示していない。米国で海兵隊移転に 関する環境アセスメントとそれを受けたマスタープランの策定が終了していない以上、費用支出は本来であればまだでき ないはずである。 にも関わらず、日本政府が既に09年度に346億円を支出し、10年度予算案においても468億円を計上しているのは、 いかなる法的根拠によるものか、見解を示されたい。 ◆米海兵隊グアム移転費の負担の法的根拠は、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」及び、「在沖縄 海兵隊のグアム移転に係る協定」等と考えております。 N在日米軍関連経費が過去最高の3,370億円に達している。米軍再編経費が1,320億円と前年度から481億円も増額 されたことが大きな理由である。新政権が三党連立合意において「米軍再編と在日米軍基地のあり方の見直し」を掲げた にも関わらず、なぜこうした予算計上が行われたのか。その理由を示されたい。 ◆米軍再編と在日米軍基地のあり方の見直しについては、現在、普天間飛行場の辺野古移設問題に集中しています。 いま論点を拡大することは、米軍再編合意の見直しを困難にすると考えております。 <その他の装備>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 O財務省が見合わせるべきとしていた新型戦車は、13両の調達費187億円が計上されている。計上に踏み切った理由 は何か。また、一体どこの地上戦で使用する想定なのか、明らかにされたい。 ◆新型戦車を調達する必要はないと考えております。具体的な計上理由や使用想定等については承知しておりません。 P「JDAM」というGPS誘導爆弾の継続購入費(04年度予算から導入開始)が盛り込まれ、F2戦闘機35機分の JDAM機能付加として、改修部品の集中調達経費が計上された。しかし、JDAMは米軍がイラクやアフガニスタンで 多用してきた代表的な先制攻撃兵器である。「敵部隊の上陸時の使用」という導入時の理屈がまやかしであることは、 考案者自らが告白している(潮匡人『自衛隊はどこまで強いのか』)。「専守防衛」を表明する新政権は、明らかにそれを 逸脱するJDAMの購入を中止すべきであると考えるがどうか。 ◆JDAMが専守防衛を逸脱するおそれは強く、中止した方が適当と考えております。 Qその他、今回の「市民仕分け」の試みに対するご意見などがありましたら、ご自由にお書きください。 ◆多くの市民が予算の審議に関心を持たれ、多様な議論をされることは、非常に良いことだと考えております。 (担当:政策審議会事務局 野崎) ……………………………………………………………………………………… 2010年2月3日 ◆回答者 市川健太(財務省主計官) 1月27日付け質問状について(回答) 平成22年度防衛関係費につきましては、平成21年12月17日の安全保障会議及び閣議において決定された「平成22年度 の防衛力整備等について」等を踏まえ、国の最も基本的な施策の一つである防衛の重要性を踏まえつつ、厳しさを増す 財政事情を勘案し、歳出額及び新規後年度負担額を極力抑制するとの観点から、要求内容を精査の上、必要最小限の 経費を計上しております。 平成22年度防衛予算のポイントは、財務省ホームページに掲載されておりますので、ご参照下さい ( http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan.htm 防衛予算のPDFファイル)。また、国会提出資料である「平成22年度予算及び財政投融資計画の説明」も このたびホームページに掲載されましたので、該当箇所を御参照下さい。 ( http://www.mof.go.jp/jouhou/zaitou/h22keikaku.htm ) なお、2月5日の参加招請につきましては、公務多忙等のため、参加かないませんことを御了承ください。 平成22年2月3日 財務省主計局防衛係 主計官 市川健太 |