|
グアム、軍事植民地化に抵抗 → English
Guam Resists Military
Colonization
― 島の人口25%増につながる米国政府のもくろみにたいして発言権もない
Having No Say When Washington Tries to Increase your Population by 25% ―
アン・ライト さん ( by Ann Wright )
翻訳・尾川寿江さん(translated by Hisae Ogawa)
米国政府と中国政府は植民地化に関して非常に似通っている。中国政府はチベットに
世界最高位の鉄道を敷設し人材、資材を投入し、チベット人を上回る大量の漢族を
定住させた。
合衆国政府は、現地政府や市民とほとんど協議をせずに準州グアムの人口を25%
増加しようとしている。グアムは、首都ワシントンのほぼ三倍の大きさの太平洋上の
小さな島で人口は175,000人だが、その島に8000人の海兵隊員、その家族や
軍属、総計42,000人が移住しようとしている。
島の文化、社会生活に重大な影響が危惧される。
グアムへの大規模な海兵隊の移転は、日本の沖縄における市民らの米軍基地閉鎖の
粘り強い闘いの結果といえる。合衆国は第二次世界大戦終結以降、沖縄に膨大な
基地を置いてきたのだ。
私は、太平洋地域におけるアメリカの権益についてはかなり精通しているつもりだった。
2年間ミクロネシアで外交官を務め、その間何度もホノルルから西へ8時間の飛行で
グアムを経由して旅をしていた。
しかし、今月初頭にコード・ピンク大阪が提唱したグアム・スタディー・ツアーに招かれ、
元国会議員の女性を含む日本の平和活動家の皆さんとグアムを訪れて、米軍の
大量の兵員のグアム移転決定の新たな局面を学んだ。
グアムは1500年代にスペインの植民地となり、スペイン・アメリカ戦争に勝利した
アメリカが1898年にアメリカの植民地にし、フィリピンへ向かう船舶の経由地として
グアムを使ってきた。
第二次世界大戦中の1941年12月8日日本の真珠湾攻撃の翌日、グアムは日本軍に
攻撃され占領された。島に住んでいたアメリカ市民は合衆国政府によって事前に避難
させられていたが、原住民のチャモロの人々は島に残されたままであった。31ヶ月に
わたった日本軍占領期間に、彼等は日本軍による強制労働、強制収用所への移転、
強制売春、レイプ、処刑の辛酸をなめた。3年半後の1944年7月21日アメリカ軍が
島に戻りグアムを奪還した。
1950年、グアムは合衆国議会でグアム自治法が制定され合衆国自治的未編入領域
(準州)とされ、島民は国連が非自治地域とした世界に残された16地域の一つの住民
とみなされた。
島の土地は島民であるチャモロの人たちに賠償金もはらわずに米軍に接収され米空軍、
海軍基地となり今でも使用されている。現在、グアムには空軍関係者3000名、海軍
関係者1000名、連邦安全保障施設関係者1000名が住んでいる。
グアム議会議員らの話によると、海兵隊の大規模な移転に関する日米政府間の交渉に
ついてグアム当局に十分伝えられておらず、米軍強化計画の確実な情報が提供されて
いない。
熱帯の島グアムを楽しみに毎年訪れる何千人もの日本人の観光が主要な収入源である
島民等はさらなる島の軍事基地化を憂慮している。
やってくる海兵隊の実弾射撃演習場としてチャモロ人が所有している土地の950エーカー
が強制接収されるという噂にチャモロの人たちは困惑している。基地にあるヴェトナム
戦争時から残された枯葉剤やその他の有害物質、さらに劣化ウランで製造された武器、
弾薬がグアムで使用されるのではないかというのもチャモロの人々の懸念の一つだ。
沖縄からの8000人の海兵隊の移転に日本政府は60億ドルをアメリカ政府に支払う
ことにしている。
グアム当局は、25%もの人口増加に対応するとなると、移転資金は、グアム住民に必要
な大規模なインフラ整備―道路、上下水道、電気網の整備には十分に使われないのでは
ないかという懸念をいだいている。米軍はおそらく基地の整備は行うが、島民は軍関係者
の増加に伴い新たなインフラ整備に苦慮することになるであろう。
日本国民も又、米軍の日本からの帰還にさいして自ら支払う何十億ドルもの税金の使途
について詳しく知らされていない。基地内に建設される各家屋にたいして65万ドルを
日本政府が支払うとしているが、グアムの中流家屋の建設費は約25万ドルだとグアム
の活動家が述べたのを聞いて日本の代表団のメンバー等は大変驚いていた。日本に
もどったら国会議員らにこの問題を提起したいと考えている。
今後のグアムでの米軍基地建設計画に際してアメリカの企業同様、日本の企業に対しても
25億ドルにのぼる契約の入札に参加を認めるという米国議会の議員等の配慮も、グアム
ビジネス界の憂慮している点である。明らかに日本政府は、米国政府同様、政府が外国に
投資する援助金を自国企業の利益になるよう望むからである。海兵隊移転に要する
100億ドルの中、60億ドルは日本が負担するとしているが、日本はグアムでのインフラ
整備契約に日本企業を参入させ資金を日本に還元することを望んでいるのだ。
グアムの多くの役人や市民は移転に伴う人口増加や軍事化が与える経済的、文化的
影響や安全保障を深く憂慮している。基地内居住者が比較的良好な家屋、学校、
サービスを享受しているのにたいして基地の外の市民は劣悪な生活を強いられている。
この大きな格差が長年にわたる米軍と地元市民との対立の原因となってきた。
グアム当局関係者等も、グアム政府が金融危機のあおりで立ち行かなくなっている時に
米軍基地施設への莫大な支出は頭が痛い問題だと述べている。グアム政府が予算不足
で市民に十分なインフラ整備をおこなえないでいる時に、空軍基地内に2700万ドルの
犬小屋が建設され1頭につき10万ドルの贅沢な暮らしをしていると知って、彼等は我々は
動物以下の扱いではないかと憤った。
グアム大学の教授や学生等は、米海兵隊の移転により性犯罪やレイプが急増するの
ではと憂慮している。沖縄からの一部海兵隊移転が決まった背景には米軍関係者による
性犯罪への市民の大きな反発があったと彼女等は確信しているからである。
2008年駐日米国大使が一海兵隊員による14歳の少女へのレイプ事件を謝罪するため
沖縄へ飛ばなければならなかった。在沖縄米軍は3日間反省のため基地からの外出を
禁止、ライス国務長官も日本の総理にたいして「誠にすまない事件をおこしお詫びする。
少女とご家族の幸せを祈ります」と謝罪せざるをえなかった。
2008年4月、米海兵隊三等軍曹タイロン・ハドノット( 18年間海兵隊在籍 38歳)が、
同年2月10日に14歳の少女に対してレイプ未遂事件をおこしたかどで未成年者性虐待、
虚偽の陳述、不貞、誘拐で起訴された。
2008年5月17日、ハドノットは性的虐待で有罪の判決を受け、他の件では不起訴と
なった。懲役4年の判決であったが、協定により最終年は懲役免除となり三年間の実刑
に服することになった。ハドノットは降格され海兵隊から不名誉除隊となった。
ハドノットのレイプ事件は10数年前におきた残酷なレイプ事件を思い起こさせ、日本中で
怒りが湧き起こった。福田首相はハドノットの行為は許しがたいと述べた。
グアムへの海兵隊移転に関して米国議会でようやく声があげられた。最近の議会公聴会
で下院軍事委員会議長アイク・スケルトン議員がグアム移転の規模と経費に懸念の声を
あげた。「当初40億ドルとされた経費がその2.5倍の100億ドル以上という大規模な
計画に膨れ上がっているが、審議はまだ十分につくされたとは言いがたい。この件は
遂行せねばならないが、正しくやる必要があるのだ」と。
アジア太平洋地域での米軍の前進基地配備政策に対してグアムの活動家等は、米軍
部隊を、彼等の住む太平洋の小さな島にではなくアメリカ本土に現存する基地に移転
すれば、人口比の増加の心配もなくうまく統合できるではないかと強く感じている。
しかしながら、アメリカ連邦政府は、首都ワシントンの権力の枢軸から離れた地域に
おける政策、特に軍事政策に関して地元の人々の感情を考慮するようなことはめったに
ない。
グアムの活動家等は、自らの声が届き、尊重されること、アメリカ合衆国の植民地の
住民のような扱いを受けないことを望んでいる。
....................................................................................................................................................................................................................
アン・ライトさんのHP: http://www.voicesofconscience.com/
ガザ・フリーダム・マーチ http://www.gazafreedommarch.org/article.php?list=type&type=416
コードピンク大阪 : http://codepink.jp/
コードピンク : http://www.codepink4peace.org/
- アン・ライトさんについて -
イラク戦争開始が間近に迫っていたころ、陸軍大佐で上級外交官であるアン・ライトは国務省を
辞職した。 彼女は、機密文書を外部に暴露したり、抗議したり、辞職したり、自分が非合法だと
感じる行為を政府が行うことに抗議して派遣を拒否したりといった行動を、政府内の要職にあって
おこした米国軍人数十人のうちのひとりであった。 著書の『Dessent: Voices of Conscence』
(『異議あり:良心の声』 ―翻訳:尾川寿江/出版:コードピンク大阪)の中で、アン・ライトと
スーザン・ディクソンは、自分の仕事と名声、そして自由すらを、合衆国憲法と法秩序への
忠誠のために危険にさらした、これら男性、女性たちの物語を語っている。
( http://www.voicesofconscience.com/ より)
<* 訳者とライトさんの許可を得て掲載しています。
情報提供に感謝します:Sung-Hee-Choi, Kyle Kajihiro>
|