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(translation of an article in the Nation, Dec.11th,2009)
to "The Nation" → http://www.thenation.com/doc/20091130/roston/
How the US Funds the Taliban by Aram Ronston
米国はどのようにタリバンに資金を与えるか
2001年10月29日、アフガニスタンのタリバン政権が攻撃されている間、同政権のイスラマバード大使は、草の上に座った
数十人のレポーターの前で、混乱した記者会見を行った。そのタリバン外交官の右には彼の通訳で堂々としたAhmad
Rateb Popalが座っていた。 大使同様、Popal は黒いターバンを巻き、ふさふさしたあごひげをしていた。彼は目に
黒い眼帯をし、左腕は義腕、右手は変形していたが、それはカブールで旧ソ連軍との戦闘に従事していた昔に爆発で
被った負傷であった。
しかしPopalは元モジャヒディーンであることだけに終わらなかった。1988年、ソ連がアフガニスタンから退却する1年前、
Popalは米国で1キロ以上のヘロインの輸入未遂で起訴されていた。裁判所の記録に彼は1997年に刑務所を出たとある。
2009年まで話しを飛ばそう。今アフガニスタンはPopalの従兄弟である、ハミド・カルザイ大統領が治めている。
Popalはその長いふさふさのあごひげをすっきりと刈り、兄弟のRashid Popalと共に、とてつもなく裕福なビジネスマンと
なっているのだが、このRashidは1996年、ブルックリンで別のヘロイン事件で起訴され罪を認めていた。
このPopal兄弟が現在アフガニスタンにおいて、通信電話、輸送、さらに最も重要なことに、警備の分野で商売をする
大きな会社組織であるWatanグループをとりしきる。 Popal個人の軍事関連企業であるWatanリスク・マネジメントは、
アフガニスタンで数十ある民間警備会社の一つである。Waran事業の一つで、戦闘へのカギを握るのが、米国の物資を
積んでカブールからカンダハールに向かうアフガン人のトラック団の護衛である。
アフガン戦時契約市場へようこそ。それは、前CIA局員と元軍人が、戦闘行為の名目で提供される米国政府の資金を
集めるため、元タリバンやムジャヒディン戦士と手をとりあっている、あり得ないような性質といかがわしい関係を持つ、
仮想カーニバルだ。
このグロテスクなカーニバルでは、米軍と委託契約を結んだ民間会社はアメリカの補給路を守るため、待ち伏せすると
予想されるテロリスト集団に金(カネ)を支払わざるをえない。米国政府が、米軍が戦っている、まさにその相手の軍隊
に資金を出すことは、アフガニスタンでの米軍の後方支援活動の、容認されている事実である。そしてこれはまったくの
皮肉だ、なぜならこれらの資金はタリバンにとって巨額の資金になってしまうからだ。
「その支払いは彼らの収入の大きな部分だ。」とアフガン政府の警備担当のトップの一人がインタビューでネイション誌に
語った。実際、カブールの米軍事務官の見積もりでは、国防総省の後方輸送契約の総額のうち最低でも10%--数億ドル
がテロリスト集団への支払いとなっているという。
どうしてこんな状況がまかり通るようになったのか理解するためには、もつれあった二つの糸をほどいて解明することが
必要だ。 最初の糸は、アフガンにおける商売の勝ち組と負け組を決める、内部の取り決めであり、2番目の糸は、これら
昔からの交易ルートを往来する米国の補給トラック団が武装集団に待ち伏せされないことを「民間の護衛」が確実に
するために利用している、この問題の多い仕組みである。
最初の糸を理解するためには、数億ドルの米軍後方輸送契約を与えられた小さな会社、NCLホールディングスをとりあげて
みるのがよい。PopalのWantanリスクのように、NCLはアフガニスタンで免許を与えられた警備会社である。
しかし、カブールで契約をとりあう諸々の会社のサークルのなかでNCLが一番悪名高いのは、その会社のトップのひとり、
Hamed Wardakの身元のためである。彼はアフガニスタンの現在の防衛大臣、Abdul Rahim Wardak将軍の若い米国系
の息子だが、この将軍は旧ソビエトと戦っていたムジャヒディーンのリーダーだった。Hamed Wardakは政治だけでなく
ビジネスにものめり込んだ。彼は米国で育ち教育を受け、1997年に卒業生総代としてジョージタウン大学を出た。彼は
ローズ奨学金を得て、ネオコン(新保守主義)のシンク・タンクである、アメリカン・エンタープライズ・インスティチュート(AEI)
で研修を積んだ。そのときの研修は彼の人生で重要な役割を果たすこととなった、というのは彼が故ジーン・カークパトリック
大使のような、米国の保守的外交政策サークルにいる主要人物の何人かと親交をつなぐことができたのはAEIにおいて
であったからだ。
Wardakは2007年始めに米国でNCLを法人会社にした、といってもこの会社はそれ以前にアフガニスタンで操業していた
かもしれない。ワシントンで開店するのはもっともだった、なぜならWardakの人脈はそこにあったからだ。NCLの顧問には、
たとえば、有名な元CIA局員のミルトン・ベアーデンがいる。ベアーデンはアフガニスタンの諸問題について発言力がある。
例を挙げれば、10月に彼は上院外交委員会で証言したが、その場で議長であるジョン・ケリー上院議員は彼を「伝説的な
元CIA工作員で、頭脳明晰な思索家で著述家」であると紹介した。 すべての警備請負会社がこのような影響力ある顧問を
抱えているわけではない。
しかしNCLが得た最大の取引は―その契約により同会社はアフガニスタンでのメジャーの一角に入れたのだが―Host
Nation Truckingだった。今年初めこの会社は、トラック輸送の実績は何もなさそうなのに、補給物資を基地とアフガニスタン
内に散らばっている遠くの前哨陣地を結ぶ輸送網へ運ぶ、同国における米国のトラック輸送の大半を扱う6つの会社のうち
のひとつに指名された。
当初その契約は多額ではあったが、巨額ではなかった。その後それは突然変化した、まるで広大な庭中の花がいっせいに
開花したかのように。 夏のあいだ、今後生じる‘(輸送の)増大’と「兵器システムとしてのマネー」という新たなドクトリンを
引き合いにだして、米軍はNCLおよび他の5つの会社との契約を600%拡大した。
契約の文書資料は、それ以上のマネーが投入されない場合には、深刻な結果となると警告する:
「兵士は彼らが必要とする食料、水、装備、弾薬を得られないだろう」と。 米軍による6つのトラック輸送契約のそれぞれは、
3億6000万ドル、すなわち総額でほぼ22億ドルにまではね上がった。次のような見方をしてみればいい。すなわち、アフガ
ニスタンのトラックやトラック業者を雇うという、この2年の事業だけで、アフガニスタンの一年の国内総生産の10%に匹敵
したのだった。防衛大臣の息子で人脈豊かなこの人間が経営する会社は、委託契約という金鉱を掘り当てたのだった。
ホスト・ネーション・トラッキングは実際にアフガニスタンにおける米軍の活動を支えている。「我々はこの地で生き残るため
に軍隊が必要とするあらゆる物資を運ぶ」と、ひとりのアメリカ人の運送会社役員が私に語った。「我々は軍隊にトイレット・
ペーパや、水、燃料、銃、乗り物を運んでいる。」 運搬中心地はカブールからたった1時間北に行ったところの、
Bagram空軍基地であり、そこからアフガニスタンにある実質上あらゆるものが、米陸軍がいうところの「戦闘空間」、
つまりアフガニスタン全土にある周辺の前哨陣地へとトラック輸送される。トラックは搬入管理第3地点の近くにずらっと
並んで駐車し、ギアを変え、埃を舞いあげながら、全土にわたって求められるさまざまな仕事に向かおうとする。
アフガニスタンにおけるトラック輸送の本当の秘密は、地方の武装グループや、部族民兵や、テロリストグループ、そして
タリバンの司令官たちなどによって支配されている危険な道路の安全確保を確実にすることである。
私が話したアメリカ人役員は、この点をかなり具体的に語った。「軍隊は基本的に、軍を攻撃しないようにと、タリバンに
カネを支払っている。国防総省のカネだ。」 そのことは誰もがうなづく点である。
Mike Hannaはアフガン・アメリカン・アーミー・サービスというトラック輸送会社の事業マネジャーである。この会社は今でも
アフガニスタンで操業しているが、それ以前何年間も米国のためにトラック輸送をしていたところを、ホスト・ネーション・
トラッキング契約ではNCLに受注をとられてしまった。Hannaは警備の現実を率直に説明した。「地方にいる人間たちに
カネを支払っている。その中にはテロリストのリーダーたちもいれば、警察機構にいる政治家たちもいるが、それはトラック
を通してもらうためだ。」
Hannaは彼らから課される通行料は、ルートにより異なると語った。「我々は大体はカネをふんだくられている。カネを支払
わねば、攻撃されるだろう。我々の案内役を連中のところにやり、支払う必要がある相手に全部支払う。」 時にはゆすりの
カネは高額であり、ときには低料金である、と彼は語る。「10台のトラックを動かすには、1地域を通るのにおそらくトラック
1台につき800ドルだろう。
この料金はトラック何台か、何を運んでいるのか次第だ。燃料を積んでいるなら、連中は料金をあげる。何も積んでいない
なら、それほどはとらない。MRAP(対地雷奇襲攻撃防護重装甲車)やHumvee(高機動汎用装輪車両)を運んでいるときは、
もっと料金をとる。」
Hannaはそれは必要悪にすぎないと話す。「この付近の武装グループにカネを支払うなというなら、うちのトラックが攻撃
される可能性は何倍にも増す。」
イラクでは民間警備の仕事は米国と、米政権の両腕のように操業するブラックウォーター社のような多国籍企業によって
支配されてきているが、アフガニスタンでは、現地の仕切り手もたくさんいる。その結果、カブールでのこの商売は(イラク
におけるよりももっと)共食い状態である。「武装集団のリーダーはすべて警備会社を雇っている」というのが、ある役員が
話してくれたその事情である。
同じように、後方支援活動のカギであるアフガニスダンのトラック業界は、重要人物や部族のリーダーと結びついている
ことがよくある。同国の運送業大手のひとつ、アフガン・インターナショナル・トラッキング(AIT)は、米陸軍の契約担当官
へのリベートに月20,000ドルを支払ったが、この事実は8月、米国裁判所において、この担当官の有罪答弁取引合意
により分かった。 AITは良い人脈を持つ。それは元北部同盟司令官で後にカブールの警察署長となった、Baba Jan 将軍
の25歳の甥が経営している。陽気でカリスマ性のあるリーダー、Baba Janは、甥の法人会社とは自分は何も関係がない
と言い張った。
しかし問題の核心は、兵士が物資を必要としている戦闘地域の前哨陣地や前線展開の基地にそれらを運ぶためには、
武装集団にカネを支払い安全な通行を確保する以外の方法がほとんど無い、という点である。多くの前哨陣地は一応、
アフガニスタンの南部、敵の領地にある。警備会社は実際ここでは、アメリカの軍需物資を運ぶ輸送車両を護衛する
わけではない、なぜならつまるところ、彼らにはそうできないからだ。だから彼らはタリバンの協力を必要とするのだ。
アフガン全土で米軍に軍需物資を供給する会社にとって大きな問題の一つは、ライフル以上の重装備で武装すること
を禁じられているという点だ。このため彼らは戦闘力がない。タリバンは輸送トラック車両を攻撃してくる。「連中は
PKM機関銃を使って3,000フィート離れたところから運転手を撃ってくる」と、カブールのトラック会社役員は語った。
「彼らは軽武装車両(up-armed vehicle)を吹き飛ばすロケット・ランチャー(RPG)を使っている。だから警備会社は
結束して決まりを作っている。その決まりのため、そういう会社は自動小銃(AK-47)しか持てない。まるで冗談だ。
私もそれを持ち歩いているが、それはいざというときに、自分を撃つためでしかない!」
その決まりには十分な理由がある。すなわち、民間警備会社の傭兵による、悲惨な巻き添え被害に対して警戒するため、
という理由だ。それでも、アフガン・アメリカン・アーミー・サービスのHannaが指摘するように、「カラシニコフ自動小銃対
ロケット砲では、勝ち目はない!」 そうはいっても、ホスト・ネーション・トラッキング会社の少なくとも一つは、武装
グループと地方軍閥にカネを出す代わりに戦闘をしようと試みた。それはフォー・ホースマン・インターナショナルという名
の米国籍の会社だ。支払いをするかわりに、この会社は攻撃してくる勢力と戦おうとした。そしてその代価を人命で払
うことになり、たくさんの負傷者を出した。FHIは、他の多くの会社と同様、公表することを拒んでいるが、業界の内部の
者の話ではFHIの輸送トラック団は実質毎回襲撃されているということだ。
これまで運搬業の実績があるとはまったく知られておらず、語るべき護衛の実績もほとんど無いような会社であるNCLが
なぜ、3億6,000万ドル相当の契約を落札することになるのだろうか問うてみる価値は確かにあるだろう。アフガニスタン
内部では多くの者が次のように問うている、「もし彼が防衛大臣の息子だとしても、なぜ米国政府は彼に契約を与える
のだろう?」 それがマフムード・カルザイが私にたずねたことである。
彼はハミド・カルザイ大統領の兄弟であり彼自身報道関係では、アフガン政府要人へのつなぎ役に見なされている。
ニューヨークタイムズは、非常に重要な記事で彼を紹介さえした。自己弁護しながらカルザイは、自分では少なくとも
米国政府やアフガン政府の契約を自制していると強調した。彼は、他の者たち同様に、Hamed Wardakが国防総省から
警備と輸送の委託契約を自分の会社に得る以前に、その会社にはそのような業務の経験がほとんどなかった点を指摘
した。「これは疑わしいビジネス慣行だ」とカルザイは行った。「彼ら(米国側)は彼に契約を与えるべきではない。なぜ
それが問われないのか?」
私は実際に、Hamedの父であるWardak将軍にそれに関して尋ねる機会を得た。彼はもはや、以前ベアーデンが描写
したような、人当たりがよい「グッチ(Gucchi)司令官」ではないけれど、とてもこざっぱりしている。私はWardakに、
その息子とNCLについて尋ねた。「私はこれまでの人生にわたり、率直で正しく、そして腐敗と闘おうとしてきた」と防衛
大臣は語った。「これ(NCL)は、人々が私に対抗するために使おうとしたことであり、だから苦痛だった。」
WardakはNCLについては簡単にしか述べようとしなかった。その問題は息子との間に口論を生じさせたようだ。「私は
当初からその事業には反対だった、そしてそれが長い間我々が口をきかない理由だ。これまで息子を支援しようと
したり、彼が恩恵を得るように自分の権力や影響力を使おうとしたりしたことはなかった。」
彼の息子の会社が3億6000万ドル相当もの契約を米国から得たと私が告げたとき、Wardokは、はっと驚いた様子
だった。「それはあり得ない」「そんなことは信じない」と彼は言った。
私は彼の息子が何を考えているかまったく分からないと語った将軍の言葉を信じた。しかし、内部取引のように見える
ものを一掃するほうが、その次のステップよりも簡単であるかもしれない。次のステップとは、すなわち国防総省の
委託契約から、武装攻撃をしてくるかもしれないテロリスト集団へと渡るカネのパイプラインを閉ざすことである。
2年前に、あるアフガニスタンの警備関係の役人のトップが私に話したところでは、アフガニスタンの情報局である、
国家治安局(NDS)が米軍にその問題点を警告した。NDSは「非常に詳細」であると私が聞かされているレポートを
米国側に渡し、タリバンが米国物資の輸送を護衛することでどのように利益をあげているかを、彼らに説明した。
このアフガニスタン情報局は、ある解決法を提案すらした。それは米国が、警備委託会社に数千万ドルのカネを支払う
代わりに、後方輸送ルートを警備する、献身的でそれ専門の、輸送支援部隊を立ち上げたらどうだろうかと。しかしこの
提案はまったく顧みられなかった。
奇妙な事実だが、カネを支払ってタリバンに護衛させる慣行は秘密ではない。私は第10山岳師団第3旅団の司令官
であるデヴィッド・ハイト大佐にこの点について尋ねた。それはつまり、ハイウェイ1の一部が彼の司令地域を通って
いるからだ。警備会社がテロリスト集団にカネを支払うことをどう考えるか? 「私のうちの米国軍人の部分が、
それには不快感を覚える」と、ローガル州での前哨陣地、FOBシャンクの中の彼のオフィスでのインタビューで彼は
答えた。「しかしそれが実態であるとわかっている。つまり基本的に「おい、俺を困らせないでくれ」といいながら、
敵にカネを渡すことがだ。私はそれが嫌だが、しかしそれが実態だ。」
カブールにいる軍将校が全般的なアフガンでの契約について説明したので、「我々には全体の経費のうち、10から
20%がテロリスト集団に支払われることがわかっている。私の部下の情報担当者なら10%に近いくらいと言うだろう。
一般には後方支援において、それ(タリバンへのカネの支払い)が起こっている。」
ホスト・ネーション・トラッキングについてネイション誌への声明のなかで、アフガニスタン国際治安支援部隊の広報
担当チーフであるウェイン・シャンク大佐は、軍関係者は「調達資金がテログループの手に渡るという話には気づいて
いるが、もしそれが起こっているのであれば、我々はその行為を直接支援したり、許したりはしない」と語った。彼は、
(軍の)監督にも関わらず「契約会社とその下請けの関係、そしてまた下請けと、それが活動する地域においての
他のものたちの間の関係が、すっかり見通せるわけではない」と付け加えた。
いずれにせよ肝心なのは、米軍がこの問題に見て見ぬふりをしているということではない。多くの軍関係者は、
実際に起こっていることを認めながら、一方でまたこの状況に大きな不安を述べる。
問題であるのは、アフガニスタンにおける多くのことと同様に、米国はこの状況をどうしたら直せるか分かっている
ように見えない点である。
http://www.thenation.com/doc/20091130/roston/
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