ミサイル防衛と朝鮮半島―何が問題か?
Missile System and the Korean Peninsula-What is
the problem?
2009/3/6 Cheong, Wooksik
ROKS Sejong the Great (DDG991) during 2008 Busan International Fleet Review |
http://nobasestorieskorea.blogspot.com/2009/03/text-fwd-missile-defense-and-korean.html
(英語訳 Agatha D.Haun http://www.tlaxcala.es/pp.asp?reference=7276&lg=en)
image:http://www.space4peace.org/articles/md_and_Korean_peninsula.htm
| 朝鮮半島の分断の現実は、確かに米国ミサイル防衛計画の中でも示されている。それはミサイル防衛(MD)を 推進する側にとりよい口実である北朝鮮問題が、米国のMDシステムのための進化した基地となるよう韓国を 説得する際に重要となったからである。 就任したばかりで、北のミサイル発射の渦中に放り込まれたオバマ政権は、ブッシュ政権の時代よりもMDに ついてはより慎重である。他方、韓国の李明博政権は、韓米「戦略的同盟」を外交上および安全保障上の至上 命題とみなし、MDについてはかっての金大中や盧武鉉政権政権よりも積極的である。 まさにここに、ごく最近の、韓国-北朝鮮-米国の三国関係のタイミング的に不調和な動きが隠されているのだ。 さらに、MDは日米安保同盟と中露協力体制の間にある複雑な相関関係を支配するゆえ、もし韓国がその中に のこのこ出ていけば、韓国は大陸の勢力と海上の勢力の間の「架け橋」例になるのではなく、「生け贄」になり さがることにもなろう。 このような状況が北東アジアで進んでいる間に、韓国はポーランドのような立場に立つのだろう。ポーランドでは 米国の東欧ミサイル防衛の配備をめぐる、米ロの論争が「新たな冷戦」の様相を呈している。 韓国にとり、MD計画の局面は3つある。一つには、米国はMDシステムを韓国内に配備していること。二つには、 韓国政府は現在、自立した「韓国空域ミサイル防衛(*仮称)(KAMD)」と自ら呼ぶものを促進していること。 そして3つめは、韓国が米国のMDシステムに正式に加わるかどうかについては疑問があるということ。 むろんこれらの3つの局面は完全に別々のものというわけではない。米国とロシアの間で論戦となっている、 ポーランドとチェコ共和国の米国MDシステムへの参加は、その両国が米国のMDシステムを購入するということ を意味するわけでなく、むしろ両国が自らの領土内に米国MDシステムの配備を許可することを意味する。 同様に、政府の公式発表の類がないままに、韓国で米国MDシステムが進展していることは、それ自体韓国が すでにそのシステムに参加していると見なされるものだろう。さらに、KAMDと米国のMDシステムへの公式参加 の間には、政治的外交的にも差異があるけれども、軍事技術面から両方を統一する以外に選択肢はないという 意味では、その両方は密接な関連があるのだ。 韓国MD計画: 李明博政権が就任して以来、MDに関する韓国政策に微妙ながら重要な兆しが現れた。とりわけ李政権は 金大中と盧武鉉政権時に考案され、その後促進開始段階であったKAMDの構築を急がせている。 軍当局は、3000億ウォン($25000万)相当額を「ミサイル追尾および迎撃作戦管理センター(AMD-Cell)」に投入 する計画を最近発表したが、それによれば、同センターが今後北朝鮮のミサイルを監視し迎撃する任務を担うこと になり、2012年までには完成されるという。 軍当局はまた、探知範囲が約500kmある早期警戒レーダーの購入計画と、イスラエルのEltaカンパニーの グリーン・パイン、および仏・独共同開発のタレス・レイセオン・システム・カンパニーのM3Rを中心に兵器の選択を 今年4月までに終え、来年にそれらを購入する計画を決定した。さらに、今年から2011年までのいろいろな段階に おいて、3隻のイージス艦でAN/APY-1D(V)レーダーが配備、稼働となり、空域早期警戒システム(AEWS)の4部隊 が2012年までに導入される予定で、これは韓国MDの「センサー」の役割も果たすことになる。 現在の計画では、これらに合わせて、今年までにドイツから購入する48のパトリオット・ミサイル2(PAC2)、および 「Soot2」と呼ばれる中距離地対空ミサイルが、韓国MDの迎撃ミサイルの役割を果たすことになる。迎撃能力を向上 させるため、当局は現在、イージス艦搭載のSM6を含むミサイルの暫定的配置および捕捉迎撃のための第2次 SAM-X計画への可能性を探っている。李明博政権発足以来、これらの動きが、「迎撃ミサイル―センサー作戦管理 センターという連携を形成する、韓国型MD」が今性急に始動しつつあるとこを示す、一番重要な指標である。 政治的な観点からみると、KAMDは自立的であるように見えるかもしれない。しかし、韓米相互防衛体制として知ら れる軍事構造の特徴、そしてその相互稼働性の性質を考えるならば、米国と共同のMD軍事作戦は避けられない。 在韓米軍司令部は、KAMDは米国のシステムと連結され用いられねばならないという点を絶えず強調している。さらに MDへの参加に関して、韓国防衛大臣も同じように今年2月、「韓米同盟と朝鮮半島の安全保障上の状況、必要予算 などを考えれば、国家戦略レベルでの調査が必要である」と述べた。 このような「韓国型MD」は、米国からは自立的であるように見えても、実は今後米国のシステムに統合されることは ほぼ確実な現状である。 経費はどれくらいか?: MDには途方もない経費が必要であり、その巨額のため米国において、軍事企業にとっては「金の卵を産んだがちょう」 であり、納税者にとっては「税金をどか食いするカバ」であると言われている。それが本当ならば、韓国の米国MDへの 参加経費は財政上どれくらいになるのか。むろん、MDの規模と構成部品により、その予算配分は異なる。 韓国がドイツから購入しているPAC2は1兆ウォン(約$7億)かかり、もしそれをPAC3にグレードアップすれば、さらに もう1兆ウォンほどもかかる。もし3隻のイージス艦に、SM2ブロック4とSM6、そして弾道ミサイル迎撃能力のあるSM3も 装備するとすれば、1〜2兆ウォン(約$7〜14億)もかかると見積もられている。それ以外に、今後2500億ウォン (約$1億7200万)が早期警戒レーダーシステムに、2兆ウォン(約$14億)が空域早期計画システム(AEWS)に、 3000億ウォン(約$2億700万)がミサイル追尾及び迎撃作戦管理システムに、5000億ウォン(約$3億4400万)が 「Soot2」システムに、などなど。 これらをすべて合わせると、以上を購入する非常だけでも、5〜7兆ウォン(約$34〜48億)にのぼる。普通これらの 初期費用の二倍となる、作戦およびメンテナンスの必要経費をこれに加算すると、全経費は20兆ウォン(約$140億) に急上昇する。 現在の深刻な経済危機のため多くの人々が生きることが難しくなっている状況において、この空中楼閣のような兵器 システムのために、国民から搾り取った税金を数十兆ウォンかけることが本当に適切かどうかという、根本的な疑問は 生じるのも当然である。 すべき最善のことはMD廃棄: 韓国のMDであれ、米国MDへの参加であれ、MDは北朝鮮のミサイル脅威に対抗する本当の防御にはならない、 その一方で、このような途方もない税金を何の防御も与えない兵器に浪費することは、南北関係の緊張を増し、朝鮮 半島で軍拡競争を激化させ、対中露関係で疑念を生むことになる。MD関連の諸経費は、避けられないメインテナンス 経費を含めば、数十兆ウォン(約$200〜300)に達するのだ。 さらに、ミサイル能力の向上により韓米MDシステムを無能力にさせたいと望む北朝鮮の思惑は、韓米のMD能力強化 に関連がある。「槍と盾」の間の軍拡競争である。米国がMDシステムを東欧に配備しようと躍起になっている今、 「第二の冷戦」の出現は、東アジアでもまたその再来となりうるだろう。その原因は、北朝鮮、そして無論中国とロシア もまた、米国が主導的役割を演じる、東アジアのMDシステムに注目しつつあるからだ。この理由のため、韓国がMD の泥沼に陥るまえに、李明博政権は、韓国の経済と国益および地域的平和を考慮に入れた選択を行わねばならない。 ............................................... *「ノー・ベイス・ストーリーズ・オブ・コリア」による注* ・ウォン=ドル交換比率は2009年3月現在の$1=1450ウォンの 概算を基準にしている。 ・Cheong, Wooksikの、英語訳の記事は、 http://nobasestorieskorea.blogspot.com/2009/03/text-fwd-north-koreas-satellite-versus.html ・Thursday, March 12, 2009 Text fwd: North Korea Satellite versus US-ROK Joint Military Exercise ・関連サイト (Site info. provided by Cheong, Wooksik) http://www.defensenews.com/story.php?i=3949088 South Korea to Complete Missile Defense by 2012 (筆者解説) 筆者:Wooksik cheong: 1999年に結成された非営利団体で、北東アジアおよび朝鮮半島の平和と軍縮の取り組んでいる 「ピース・ネットワーク」の設立メンバーのひとりで代表である。彼がこの組織を設立した理由は、北朝鮮の人道的悲惨さを 悲しく思ったからである。この悲劇は朝鮮半島に平和をもたらし軍事予算を削減することで、解消できると彼は考えた。 それ以来、これらの目標を実現するため仲間たちと賢明に努力しながら、彼は短期間でそのような目標を達成するのは 非常に困難であると悟った。ピース・ネットワークの創設から現在に至るまでフルタイムのスタッフとして働いている。 平和活動家、独立調査研究者、ジャーナリストである彼は、多くのキャンペーンや会議をとりまとめ、本やエッセイを発表し、 韓国内外で発表を行っている。(後略)(wooksik(a)gmail.com) (訳者紹介)(韓国語から英語訳) 訳者:Agatha D. Haun: スタンフォード大学で日本語とロシア語でPhD取得。別にヨーロッパとアジアの諸言語、歴史、 社会科学系学問の研究者。フィンランドのヘルシンキにて、博士課程後期終了後の研究を最近終える。平和活動家で ヨーロッパと韓国の非政府組織のためのフリーランス翻訳者。(dillardhaun(a)gmail.com) ^^^^^^^^^^^^^^^^^ (任意参照:北朝鮮の衛星打ち上げ VS 米韓合同軍事大演習 Satellite launch and joint military training |