http://www.thenation.com/blogs/edcut/384300
「スマート・ディフェンス(頭脳的防衛)」
(ネイション誌2008/11/22 カトリーナ・ヴァンデン・フーベル)
先月下院のバーニー・フランク議員が防衛予算の25%―年次防衛予算のうち1500億ドル(15兆円)―
の削減を要求した。「このような道楽っぽい新兵器がすべて必要というわけではない。防衛予算の見直しは更に
必要だと思う。」
当然ながら共和党の反応は素早かった。下院の少数派である共和党のリーダー、ジョン・ボウナーはフランクを、
「信じられないほど無責任だ」と批判した。下院の軍務人事小委員会幹部のジョン・マッフーは、その削減提案を
「非良心的」と決めつけた。民主党―特に下院の軍務小委員会に属している議員達―もまたフランクの提案した
削減数値をよしとしなかった。
しかしフランク下院議員は引き下がろうとしない。昨日のEメールで彼はこう書いている。「この削減の大半は、
イラク戦の終了と不必要な兵器システムの削減で達成できる。私は防衛支出の削減は適切だと考えるし、この数値は
私が設定したかった目標だ。今はまだ細部を具体的には言えないが、我々が削減できる兵器システムを特定するため
同僚と作業をこれから進めるところであり、また海外の米軍基地の減少についても検討したい。」
国防総省の長老による顧問グループ、ディフェンス・ビジネス・ボードすら最近、現行の防衛予算は「維持でき
ない」と結論づけた。さらにボストン・グローブ紙によれば、「ペンタゴンは今後政治的に削減することが困難だと
実証されようとも制御は必須である、そのような予算乱費をほとんどノー・チェックのまま2001年からずっと続けて
きたと国防総省内の人間と防衛予算専門家たちは話している」という。
現在の予算では5000億ドル以上が防衛に割り当てられ、さらにイラクとアフガニスタンでの戦争に2000億ドルが
追加されている。最近のニューヨーク・タイムズの社説にあったように、この予算は「米国以外の全ての国の防衛
予算の合算にほぼ等しい」。合衆国の裁量予算全体の57%になる。
インスティチュート・フォー・ポリシー・スタディの特別研究員であるミリアム・ペンバートンと元国防長官補佐官で
現在センター・フォー・プログレスの上級研究員であるローレンス・コーブは、合衆国の2009会計年度統合安全保障
予算(のレポート)で、正気な(sane)防衛予算を実施するために行う必要がある削減だけでなく、21世紀における真
の防衛上の課題に直面するのに必要な優先事項への移行についても概略する。つまり統合安全保障予算として、
「合衆国の安全保障上の全手段、すなわち攻撃手段(軍事力)、防衛(国土の安全保障)と戦争予防(非軍事の国際的
責務)に使われる歳出を、ひとつにまとめるのだ。このひとつの手段になるならば、連邦議会が包括的な歳出の優先
順位とそれらへの予算配分を検討するのが簡単になろう。」
最近のディフェンス・ニュースの特集記事で、ペンバートンとコーブはこう述べている。「我が国の軍事力への支出
と他の安全保障手段―外交や、核の拡散防止、海外・国内での安全保障など―の間の予算配分を変える必要がある。」
統合安全保障予算が示すものの中には例えば、問題のあるF22戦闘機への支出拡大として2008会計年度に
計上されている8億ドルのとりやめがある。これをとりやめれば、世界の最貧諸国の債務金利帳消しに使われる
金額の3倍になるのだが、あるいは国際平和維持活動への我が国の貢献の予算を50%増やせるし、または
2007会計年度で計上された、国内の鉄道と輸送の安全計画への予算を3倍にすることもできる。
同じようにまた、ブッシュ政権が率先する攻撃的宇宙兵器をとりやめることで、国務省の復興安定局への年間
予算を当初要求額の2倍にするのに必要な8億ドルが配分できる。
このレポートは、攻撃的兵器への支出を560億ドル削減、そして防衛と戦争予防への新たな支出として500億
ドルを提案している。それは攻撃と防衛・予防を9:1とするブッシュ政権の予算配分の割合を、5:1に変えるものだ。
さらに、「この予算が強調するのは、紛争を解決するため、そして気候変動や他国の体制変革(レジーム・チェンジ)
以外の方法による核物質拡散の防止、テロに対して自国を守りながらもその根本原因への対処など、全世界の
安全保障に影をさす諸問題に取り組むため、国際社会のパートナー諸国と共に尽力することである」という。
インスティチュート・フォー・ポリシー・スタディ(IPS)と、同組織が有する、進歩的専門家によるフォーリン・
ポリシー・イン・フォーカス(FPIF)ネットワークはこれとは別に、合衆国の軍事支出から2130億ドルを削減する方法
を詳述する「正当な安全保障」というレポートを昨年発表した。たとえこの削減を行うとしても、合衆国は世界で最大
の軍事力を保有し、また合衆国に次ぐ軍事力を持つどの国の予算とくらべても、その8倍以上を支出することになるのだ。
このような防衛予算に関する議論の枠組みを再構築する、ひとつの”内部切り込み”戦略が今後数週間で公表される
予定だ。今週、新しいアメリカン・プログレッシブ・コーカス・ポリシー・ファウンデーション(私はその理事会
メンバー)が開く会議では、ペンバートンの進歩的知識人とプログレッシブ・コーカスの会員が、維持できない防衛
支出の問題やその現状に代わる方法、そしてこの問題で世論を勝ち取る戦略と作戦を話し合う予定である。
進歩論者は、合衆国が防衛予算を獲得する方法を本当にそして有意義に変えようとする際の様々な妨害について、
甘く考えているわけでは決してない。センター・オブ・ディフェンス・インフォメーションのシュトラウス・
ミリタリー・リフォーム・プロジェクトの理事であるウィンスロー・ウィーラーは次のようにグローブ誌に語った。
「防衛計画をやめさせることに反対せんと立ち並んでいる勢力は今日非常に優勢であるため、それでもやめさせようと
奮闘すれば、第一次大戦の激戦地であったソンム川における英国軍のようになるだろう。それは防衛産業と軍隊の
マシンガンによりなぎ倒されるか、あるいは、軍隊装備と較べて外交に充てられる人員や予算の乏しさについて、
ブッシュ政権の国防長官ロバート・ゲイツですら言ったように、「外交は、防衛計画のように、その計画に組み込ま
れた国内の選挙地盤を全く持たない」ためである。
この8年間、政治課題の優先順位が間違っている―鰻のぼりの防衛支出も例外でなく―ことに社会がますます自覚を
強め、破裂間近のアメリカ経済と破綻した健康管理システムの危険性とそれらへの改革要求が高じている今こそ、
我々市民が、我々の決然たる理想と地に足がついたリアリズムを反映する代替ヴィジョンをしっかりつかまえて、
有機的なものにまとめあげる時が来ているのだ。
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