2008/11/27 宇宙開発戦略本部会合 
                                       (本部長:麻生首相、座長:寺島実郎氏)

    
     今後5年間の「宇宙基本計画の基本的な方向性」を決定
          =「専守防衛」の範囲内で、安全保障分野での新たな宇宙開発利用=


   
   
これに先立ち11月4日首相官邸で開かれた同戦略本部の専門調査会は、ミサイル防衛のための早期警戒機能
   や通信手段の強化など、人工衛星の軍事利用の検討を促進することを提案。「災害監視衛星」についても、
   安全保障・危機管理分野への用途拡大を要求。 今年5月に文部科学省宇宙開発委員会が開発中止を勧告する
   方針を決定していた官民共同開発のGXロケットに関して、IHI(旧石川島播磨重工業)は安全保障面から、防衛省
   による新しい企画を要求していた。
   GXロケットについては、来年夏までに、エンジン試験や需要見通しの再調査をしたうえで、来年夏までに本格的開発
   に着手するかどうか判断する。

   
   (以下、参考として2008/5/30 読売新聞夕刊より抜粋)
   
   (参考1) GX開発: 
          
        官民共同開発(官=文科省、経済産業省、宇宙航空研究開発機構 / 民=IHI など)で、2003年に開発開始。
        官側は、2弾の新型エンジンを開発し、民間側は米国企業からロケットの一段を購入、全体のとりまとめを担当


   (参考2) 文部科学省宇宙開発委員会によるGXロケット開発中止の勧告は、自民党の推進派のけん制により先送り:
          
        宇宙委の中止勧告理由は、次を含むいくつかの問題点のため。

        1. 民間側が要望する2011年度の初打ち上げは不可能 (官側が担当の新型エンジンの開発が立ち遅れ)
        2. 一機あたりの価格が高く、民間側がめざす世界の打ち上げ市場の参入が困難
        3. 民間側が提案する米国での打ち上げは、日本が安全確認等に関与できないのに、打ち上げ失敗時には
            日本政府が損害賠償を要求される可能性がある。

   (参考3) 開発費用:
        
        これまでに官民合計で、700億円〜800億円を投入。官民の試算では、今後さらに、国の負担が900億円〜
        1400億円以上必要。 総開発費は、当初計画の450億円の3倍〜5倍となると言われる。

   (参考4) 『GXロケットの現状・課題および展望』 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai2/siryou4.pdf


 ■ 寺島実郎氏談話     (「核とミサイル防衛にNo!キャンペーン」杉原浩司)

   著名な論客の一人である寺島実郎氏(日本総研会長)に宇宙開発に関して直接問い質す機会が
  ありました
(1123)。彼の答えの要旨を紹介します。
 彼は、「宇宙基本法」施行により発足した
  「宇宙開発戦略本部」が、来年
095月をメドにまとめる「宇宙基本計画」を策定するための諮問機関
  である「宇宙開発戦略専門調査会」の座長を務めています。

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     (寺島氏)

    「宇宙も海洋も、自民党だけではなく民主党も含めた議員立法で基本法は出来上がっている。
    今後政局がどういうふうに動くにしても、宇宙開発と海洋開発という二つの柱は、
   日本のサバイバルにとってものすごく重要だ」


    「ミサイル防衛などにつながっていく危険性をはらんでいることを腹に括ったうえで、
    …専守防衛の枠の中で『攻撃されたならばものすごく強いぞ』という国を作っておくことは、
   今後の東アジアにおける日本のプレゼンスを考えたら、私は軍国主義者でも何でもないけれども、
   ものすごく重要だと思う。早期警戒衛星だとか、動物で言えば耳の大きなウサギや目の大きな動物
   のように、自分の危険をいち早く察知できる能力もなしに、国際社会の中で発言していける基盤
   なんてない」

    
     「全ての情報をアメリカに頼りながら、北朝鮮問題などに向き合っている状況を脱していくためには、
   自分の国の国力とか国益を考えて、攻撃型の兵器に対する平和主義はものすごく禁欲的に貫かなければ
   いけないと思うけれども、日本という国は、変な言い方で恐縮だが、やはり『夢見る乙女』のようでは
   いけない。日本という国をなめられてはいけない。それだけの基盤、技術というものを蓄積していく
   ためには、宇宙開発にしても海洋開発にしても、しっかりとした舵取りをしなきゃいけない」

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 「ミサイル防衛」に象徴的に見られる通り、アメリカの軍事戦略に自衛隊が統合される形での日米軍事再編が
 進行し、日米軍需産業が急速に一体化する時代にあって、「専守防衛」型軍事力が成立するというのは幻想に
 過ぎません。


 
寺島座長の自負は、極めて危険なものと言わざるを得ません。「戦後日本は軍需ではなく民生で生きていく
 べき」との持論とも大いに矛盾するばかりか、日米軍需産業の掌の上で踊っているに過ぎないのではない
 でしょうか。彼が一貫して批判してきたアメリカの先制攻撃戦略に自ら加担しつつあることに気づくべきです。

 
 
  (参考) 521日、宇宙の軍事利用に道を開く「宇宙基本法」が成立後の事態の推移
       (同法は、自公民などの
賛成によりわずか4時間のスピード審議で成立。)

      827日 宇宙基本法施行、「宇宙開発戦略本部」発足

      …「実質的司令塔」となる事務局長に、宇宙産業(=軍需産業!)と関係の深い豊田正和・
       前経済産業省審議官を起用


    
912日 戦略本部第1回会合

      …095月をメドとする「宇宙基本計画」策定に向けて、「有識者」16人で構成される
      「宇宙開発戦略専門調査会」を設置

      委員→ 青木節子(慶應大学・宇宙法)、   
          朝倉敏夫(読売新聞専務取締役論
説委員長)、
          北岡伸一(東京大学)、       
          國井秀子(リコーソフトウエ
ア取締役会長)、
          澤岡昭(大同工業大学学長)、    
          庄山悦彦(日立製
作所取締役会長)、
          寺島実郎(日本総研会長)、     
          西田篤弘(元宇宙
科学研究所所長)、
          藤森涼子(気候キャスターネットワーク副代表)、

                前田晃伸(みずほフィナンシャルグループ取締役社長)、
          松永真理
(バンダイ社外取締役)、
          松本鉱(京都大学理事・副学長)、  
          松
零士(漫画家)、
          御手洗富士夫(キヤノン代表取締役会長・日本経
団連会長)、
          毛利衛(宇宙飛行士)、
          渡辺捷昭(トヨタ自動車取締
役社長)

     ◇101日 宇宙開発戦略専門調査会 1回会合

       …寺島実郎委員を座長に選任
           …「宇宙開発利用体制検討ワーキンググループ」「宇宙活動に関する法制検討ワーキンググループ」
        を設置

     ◇114日 同専門調査会 2回会合

       …弾道ミサイル発射を検知する早期警戒衛星や軍用通信衛星などの保有の検討を促進すべき、
        文科省が新規に計画している「災害監視衛星」
は災害監視に特化せず、幅広く安全保障・危機管理
        に有効利用すべき、
などとする事務局原案を提示

       …開発費が膨れ上がるなど問題山積で開発中止寸前だった「GXロケット」を、偵察衛星など
        軍事衛星打ち上げに有用として開発続行を容認
するよう求める資料を主契約企業のIHIが配布

       1127日 同専門調査会 3回会合

       …「宇宙基本計画」骨子を確認

       122日 戦略本部会合

       …「宇宙基本計画」骨子を正式決定する予定


  

  宇宙を軍事開発しようとする宇宙開発戦略本部に抗議の声をお願いします
      

FAX03-3505-5971   TEL03-5114-1932 03-5114-1935
107-0052 東京都港区赤坂1-11-28 赤坂1丁目森
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/index.html
                (「開催状況」をクリックすると配布資料や議事概要を見られます)

【呼びかけ】「宇宙基本法」市民監視委員会(仮)準備会

[連絡先]核とミサイル防衛にNO!キャンペーン