知られざるハワイ
Inside USA −The other
Hawai’I 2008/9/26 アルジャジーラTV
http://www.youtube.com/watch?v=glq8x9vnLf4 (ページが表示されない場合は、「The other Hawai'I」と入力してみてください。)
レポーター:ハワイは合衆国50番目の州で、観光客にとっては天国です。しかしハワイには
また別の一面があります。先住民にとっては奪われた国で、彼らは決して併合に
合意もしていません。ひどい貧困状態のなかで、彼らの愛国独立運動が高揚して
います。マウイ島からレポートします。
0:40) ホノルルの賑やかな海岸地帯いっぱいにアロハの雰囲気が漂います。バラク・
オバマの育った土地ですが、他方で知られざる荒廃したハワイがあります。ここの
先住民は観光業にとって邪魔なだけでなく屑のような存在であり、貧困、ホームレス、
住宅問題に直面しているのです。
19世紀ハワイは誇り高い王国で、独立国家、ひとつの家族のような国家でした。
しかし1893年のある日、米国海兵隊がハワイに上陸、ハワイの政権を転覆させ、
国民の同意無しに不法に併合しました。しかしこれは米国政府による歴史観にすぎ
ません。
今のハワイは世界でも最も軍事化された場所の1つであり、ここに150以上の
軍事施設と数万人の軍隊が駐留しています。しかしまたここに今、ある運動が起こって
います。ハワイ先住民の自治回復運動です。既に200年以上続きながら、今また盛ん
になっています。今日は、長年の軍隊駐留の影響と観光業の代価、そして「奪われた祖
国」回復のための先住民の闘争をレポートします。
1:50) 年間700万にのぼる観光客にとり、このような光景こそがハワイであり、その魅力
です。サーフィンができるワイキキの浜辺にはいつも観光客がいます。しかしワイキキ
からわずか30km離れれば別世界です。ここワイアナイ地区の人達は、平均年収
が$13,000 以下、5人に1人近くが「貧困ライン」以下の生活をしており、
難民キャンプのようです。
アニー :私達はホームレス。社会の最底辺の人間たち。麻薬常習者や麻薬売人、犯罪者も、
何でもいるよ。私たちには壁もない。
3:25)レポーター:アニーは食べ物を捜します。海岸に住む多くの人たちと同様に、アニーはハワイの
先住民の子孫です。彼女は先祖から貧困と喪失を受け継いだだけでなく、消える
ことのない祖国への愛着を受け継いでいます。
アニー :教育を受けて食糧を得る。それが人生で重要なことだよ。食べ物が稼げなければ
終わり。
レポーター:先住民にとり100年間の植民地支配の影響は甚大です。
3:36) 男性 :我々先住民は全米でも最も教育水準が低く、ハワイの他の民族グループと
比較しても福祉は最低で、疾病も多い。
女性 :彼らは家を借りたり、まして買ったりもできない。不動産の高値が景気に
はねかえり、今ひどい不景気だから。私は大学教授なのでやっと家が持ててるの。
4:02) レポーター :ハワイでは土地の値段は全米平均の5倍です。中流住宅の家賃も全米最高です。
当然、この10年間でホームレスは2倍となりました。観光業も振るいません。
昨年二つの航空会社が廃業し、観光客は大幅に減少。ガソリンの高騰と不景気が
原因ですが、この状況をよく貧しい人々のせいにしています。
アニー :私たちは犠牲者。観光客が減れば不景気になるけど、増えても私たちがホーム
レスになるだけ。
4:44) レポーター:ホノルル市は海岸に並ぶホームレスのテントが恥ずかしいと、先住民をシェル
ターに退去させる作業を開始します。今月後半、アニーと他の人達は、海岸から
完全に立ち退かされます。
女性 :先住民を海岸から組織的に排除するのよ。それなのにどこに移すか代案もない。
アニー :ここに住めなくなる。あそこにも、どこにも行き場がない。
5:15) レポーター:ハワイの土地からの先住民の退去は、近年の土地ブームに始まったことではありま
せん。ハワイは実は、米国が唱える「レジーム・チェンジ(体制変革)」の
初めての実験の場でした。観光客が全く耳にしない話しをします。1893年、ハワイ
は立憲王国で世界に80の大使館を持ち、アメリカとは5つの条約を結んでいた
のですが、突然米軍の一隊が政権を転覆させ、海兵隊が首都ホノルルを制圧、女王
を監禁し、議会を解散させ、ハワイ語の使用を学校で禁止しました。米国はその後
の5年間に2回、連邦議会でハワイ併合の法案を可決しようとしますが、ハワイ人
の抵抗に遭い果たせませんでした。
女性 :人口の90%が併合反対の署名をしたことは、米国本土で知られていない事実よ。
男性 :アメリカ人が押しつけたものだ。彼らは憲法で決めるがハワイ人は政権に合意を
与えるやり方をする国民だ。我々は今の併合に合意などしたことがない。我々は
反対したのだ。
6:34) レポーター:しかし結局ハワイは1898年、米国・スペイン間の「米西戦争」に乗じて
併合されてしまいます。戦地のフィリッピンに向かう途中の米国海軍により、
政権を転覆させられます。しかしそれでも、ハワイを米国の支配下に置いたのは、
米国連邦議会での単なる決議によってであり、正式の条約によるものではありま
せんでした。
男性 :いってみれば、ハワイは1898年にアメリカに拉致されたのです、フィリッピンでの
スペインとの戦争のときに。米国の一部になったわけではない。併合条約などして
いない、合意文書などどこにもありません。国際法上は占領が続いているのです。
7:05) レポーター:ハワイの海・空・土地が不法占領されているというのは過激な考え方と思えるかも
しれません。しかし1993年クリントン大統領時にハワイへの「謝罪法案」が可決され、
ハワイ王国転覆は不法であり、米国はハワイの土地のうち180万エーカーを何の弁償
もなく奪ったことを認めました。法学者は「主権論争はこれで決着した」といいますが、
多くの先住民にとり、この公式謝罪は口先だけのものにすぎません。
アニー :謝罪法と言っても、もらえたのは紙切れ1枚。ソーリーと書いてあるだけ。
女性 :謝ってもらうことが私たちの闘いのゴールではなかった。200万エーカーの
全土を返せ、ハワイ語を法律で公用語にということだったの。そう言ったのよ。
謝罪なんていらないわ。本当に欲しいは土地の返還だと。
8:10) レポーター:ハワイで一番人気があるこのハワイ島では、土地の帰属問題は、米軍基地問題に
他なりません。この島の4分の1を米軍基地が占めています。
男性 :ここには、世界最大の統合軍司令部の本部があるのです。太平洋統合軍司令部です。
軍人 :我々が受け持つ太平洋地域は世界の半分を占め、ハワイはその中心にあるのです。
8:35) レポーター:100年以上前に海兵隊が上陸しハワイを占領して以来、米軍の存在は増大の一途
です。10万人の退役軍人が除隊後の生活をハワイで送り、5人家族のうちほぼ
1人の割合の人間が、軍事関係の仕事に就いています。この島は米国軍のあらゆる
部隊のホームで、ここで毎年1600万回のWiFiの兵器使用訓練が行われます。
目も眩む最新鋭の監視体制も備えられています。監視追跡ステーション、スパイ・
テレスコープ、スーパーコンピュータ、すべて風光明媚なハワイの置かれています。
9:18) 男性 :「大量破壊兵器」があるのはここ、この島にあるんだと我々は言ってるよ。
女性 :軍の施設からの排水が海に流れ込んでいたのを15年間、米軍は何も地元の人々に
言わないままだったので、彼らは神経ガスや他の有毒物質で汚染された魚を
ずっと食べ続けていたのよ。
9:44) レポーター:何十年間も大規模な軍隊が駐留しているため、環境を破壊してしまいましたね。
軍人 :米軍駐留が環境破壊となったのは事実です。現在は環境改善のための活動を行って
います。農業振興や近郊整備、リクレーションなど。この島を軍事利用したいので、
我々には環境を保護する責任があります。
10:34)レポーター:ハワイで軍隊駐留が一番甚大な影響を与えたのは、人目につかないところにある、
アカハオラレです。この島は1941年の日本軍の真珠湾攻撃以来、米国がターゲット
攻撃の軍事練習を行う場所となりました。50年間、爆破され続けた小島です。
男性 :ありとあらゆる種類の武器、爆弾、手榴弾、弾丸をあそこに浴びせ続けている。
爆弾をあそこに落とせばマウイも揺れる。環境に影響がないというのは、愚かな
だけじゃなく、嘘つきそのものだよ。あの島に米軍がくるのは、ただ破壊を行う
ためだ。あの島の破壊は、われわれ先住民の破壊なんだ。
(訳:レンゲメレンゲ)